神戸大学 医学部学士編入試験 傾向と対策のページとなります。
受験を考えられている方、ぜひご活用ください。
人気と倍率
倍率は過去数年間の平均で約18倍であり、
医学部編入試験全体平均の19倍と比較して、大差はない。
試験科目は実質、英語のみであるが、研究業績を強く求められる大学であり、その分倍率が落ち着いている。
年齢に関しては比較的寛容で、過去に30代の最終合格者は多く出ている。40代でも1次試験は突破している実績があるので、年齢よりも研究業績や経歴の方が重要であると推察される。
研究業績として、筆頭著者で海外の雑誌への論文投稿経験が最低1本はないと厳しい。論文を持っていない受験生の合格実績は過去に無くはないが、その場合補欠からの繰り上がり合格であることが多く、毎年1名程度である。少なくとも学会発表経験は欲しいところである。
推薦書に関しても2枚まで提出が可能であるが、提出していない受験生であっても合格した事例があるため、必須ではないようである。
過去問に関しては過去3年分を学務にて閲覧可能。詳細な方法はこちらから。しかし、メモなどは取ることができないので、形式を閲覧するだけとなるようである。
基本情報
【大学名】 | 神戸大学 |
【募集人数】 | 5名 |
【出願時期】 | 7月 |
【筆記試験】 | 8月 |
【面接】 | 9月 |
【推薦書】 | 〇 (2枚まで可能) |
【TOEFL】 | × |
【TOEIC】 | × |
【科目】 | 生命科学と英語の総合問題 (英語) |
【その他】 | 面接 |
【注意事項】 | 研究課題 提出 |
傾向と対策
生命科学と英語の総合問題(英語)
生命科学と英語の総合問題と記載があるが、内容は実質、英語論文の読解試験である。例年、大門は2題で1問目は基礎研究系、2問目は臨床研究系でそれぞれ構成されている傾向にある。時間は120分と問題量に対して比較的余裕のある試験のように感じる。
難易度もそこまで高い試験ではなく、1次通過は7~8割程度と考えられる。
過去の出典を見る限り、基礎研究系はNature、Scienceで対策し、臨床研究系はNEJM、JAMAでの対策がよいだろう。
論文はとにかく読んで慣れるしかない。総説でなければ基本的に『背景・目的』⇒『結果』⇒『考察』の順に記載されているので、それを知っているだけでも本番、該当箇所を絞りやすい(『方法』の記載は原本ではあるが、実際の試験問題では割愛されていることが多い)。
そして最初は分からないことがあったら誰かに質問して、実験の原理や統計の仕組みなどを教えてもらうのが手っ取り早い。大学院生や研究職出身であれば、論文を読むことに慣れていると思われるので心配ないが、文系の方は個別指導を受けることをできる限り勧める(文系の方はそもそも神戸大学には向かないが)。
実験データに関して、分からない場合におススメの参考書がこちら『論文図表を読む作法〜はじめて出会う実験&解析法も正しく解釈!生命科学・医学論文をスラスラ読むためのFigure事典』
(当塾の塾生にはこれらの雑誌のどの時期のどの分野が出題されやすいかまでピックアップして読んでもらっています。こうすることで本番で読んだことのある文章が当たる確率が格段に上がります。論文もすべては読む必要はないので、必要なところまで読むようにご提案しています。)
神戸大学は各ジャーナルの総説やコラムからの出典もあり、論文だけを読めるようになればいいわけではないので注意すること。
勉強方法としては
1. 文章の中で出会った分からない英単語は意味と共にストックしておき定期的に見直す。
2. 音読をしっかり実施し、できれば日本語を介在させないまで理解できるよう読み込む。
3. 1つの論文を300字程度の日本語に要約する。
上記3点が非常にお勧めである。
問としては、『日本語で説明せよ』『理由を述べよ』などが目立つ。よって、文法の対策は必要なく、読解と記述の対策が必須である。文字指定はないことが多く、解答欄に収まればよいという形式。
解答欄の大きさは2~3行で、おおよそ100~200字程度でまとめる問が多いように思える。繰り返しになるが、日ごろから「英文を読む→日本語で要約する」といった作業を繰り返すことが、一番よい対策のように思われる。
単語帳として『トシ、1週間であなたの医療英単語を100倍にしなさい。できなければ解雇よ。』などの医療単語系の単語帳をはじめに実施するのも一つの手であるが、文章の中で出会った分からない英単語をその都度把握していけば、必須ではないように思われる(ここは好み)。
選択肢の問題も多く、その中で生命科学や統計の知識を問われることも多い。The 生命科学というよりは、基礎系や臨床系の論文を日ごろから読んでいたら、これくらいは分かるよね、というような問が多い。
なので、神戸大学を単願する受験生は生命科学を勉強するのではなく、幅広い分野の論文を読み、図や表を記号などを含めて読み解けるように演習を積むことを勧める。例えば、「c.358 G>C」 や「p.W26C」という記載がどのような意味か分かるようにしておくこと。
ちなみに「c.358 G>C」は coding DNA において358番目の塩基のGがCに変異していることを表す。「p.W26C」はあるタンパク質の26番目のトリプトファン(W)がシステイン(C)に変異していることを表す。
また、NEJMなどで取り扱う臨床試験を題材とした論文は、臨床試験の仕組みを理解しておくのも大事である。臨床試験は通常、第I相臨床試験(Phase I)、第II相臨床試験(Phase II)、第III相臨床試験(Phase III)の3つのステップで進められ、それぞれ評価目的が異なる。この辺りの背景知識があるかないかで、本番読み進める速度が大きく変わるだろう。
下記に重点的に読んでおいた方がよい近年ホットなトピックを記す。
・がん免疫
・mRNAワクチン
・豚の心臓/腎臓移植
・AI
・老化
・腸内細菌
・アルツハイマー型認知症
上記に加え、毎年授賞式があるノーベル生理学・医学賞に関しても英語で概要を読んでおくこと。
統計に関しては、『医療統計分かりません』 ⇒ 『わかってきたかも医療統計 だけど論文読めません!!』 ⇒ 『わかってきたかも!?医療統計』を順に対策しておけば特に問題ないだろう。計算をさせられるというより、p値とはなにか、感度/特異度とは?などを日本語で説明できるようにしておき、論文に出てくる表を理解できるようにしておくこと。特にこの辺りは臨床系の論文を読み進めるうえでも重要となってくる。
医科歯科大学や富山大学の試験が傾向が似ており、手に入るのであればよい対策となる。実際、医科歯科大学とは2024年度に出典が被っている。注意点として、神戸大学の試験よりも医科歯科大学や富山大学の試験の方が難易度が高いので、最悪解けなくても引きづらないでもらいたい。
面接
面接官は10名前後、時間は20分(10分間のプレゼンテーション後、10分間の質疑応答)
※年によって時間は多少前後する可能性あり。
プレゼンテーションの題材は毎年変わらず、『直近の研究概要と医師を志した理由』である。10分間の使い方に関しては特に指定はないため、どの程度「研究」に関して話し、どの程度「医師を志した理由」に時間を費やすかは個人の判断に委ねられる。当塾としては、7~8分研究、2~3分志望動機で発表することを勧めている。
パワーポイントでの発表のため、学会発表の要領で研究に関しては発表するとよい。「医師を志した理由」に関しても、志望動機に記載した内容をスライド1~2枚程度にまとめて発表すれば、特に問題はないだろう。提出書類と矛盾がないように気をつけること。
質疑応答に関しては下記のようなものがある。
・研究に関しての質問(数問)
・医師を志望する理由は
・なぜ神戸大学か
・臨床か研究か
・臨床と研究を両立できるか、厳しくないか
・やりたいのは臨床研究か、基礎研究か
・何科に興味があるか
・現在の仕事について
・その経歴をどのように活かすか
・編入試験は、医師はいつから志しているか
・なぜ今の仕事から医師の道を考えたか
・これから医師として具体的にやりたいこと、プランは
・10年後のビジョンはあるか
・医師になってから大学院に入る予定はあるか(学位はとるか)
・それをするにあたって自分の背景をどのように活かすか
・医学系の大学院に入りなおすのではだめなのか
・本当に医師である必要があるのか
・志望動機などについて
研究に関しての質問と個人に対する質問の比重は人によって大きく異なるようである。どちらが多いから高評価というわけでもないので、気にする必要はないが、どちらを深堀されても答えられるようには絶対にしておくこと。
面接対策
神戸大学に特化したオンライン面接対策はこちらから。
今だけ特別価格30分1000円で実施しております。